アロマセラピー発祥の地であるヨーロッパ...特にフランスやベルギーでは、
代替・補完医療としてのアロマセラピー「メディカルアロマセラピー」の活用が活発です。
一方、アロマセラピー後進国である日本では、まずリラクゼーション分野から広まったため、医療現場への浸透はゆるやかでした。
しかし、当協会が発足した2000年より、その流れは変わってきました。
近年では、代替・補完医療に意欲的な医師・看護師、介護従事者により、
メディカルアロマが西洋医学による治療効果を高めるだけでなく、
顧客の満足度アップや新規開拓にも有効であることが広く認知されるようになりました。
ここでは、医療施設、介護福祉施設での、メディカルアロマセラピー導入事例を紹介致します。
薬をなるべく使用しない妊娠中のケアのひとつとして、メディカルアロマが注目されています。
マタニティーブルーの軽減、身体のむくみの解消が見込め、心身ともによいコンディションで出産に望める環境を整えられるからです。
実際、産婦人科の新しいサービスとして、出産前のむくみの軽減およびストレス軽減を目的としたアロマトリートメント、出産後のおめでとうマッサージが人気を集めています。
産院を検討中のカップルを対象とした「パパママレッスン」で、メディカルアロマを使った妊娠時の心身のセルフケア方法をレクチャーしているクリニックもあります。少子化に対応し、サービスの差別化を図る産婦人科が増えている現状が伺えます。
また、レディースクリニックでも、不妊治療、子宮筋腫やがん、月経不順、更年期障害などで通院する患者さまに向け、アロマトリートメントメニューを提供しているケースが増えています。
患者さまの多くが、ストレスなどメンタル面の影響が強い疾患・症状に悩んでいることから、精神面にも働きかけリラクゼーション効果が高いメディカルアロマが有効だと考えられているからです。
本当に辛いときに辛いと言えない介護や育児。
メディカルアロマの力で疲れや緊張を取り除いてあげたい
アロマテラピーサロンに勤務していた頃のお客様から、『家族の介護をしていてなかなか家を出れなかった』『毎日の育児に負われて自分のケアをする余裕がなかった』そんなお声を耳にしました。やっとお越し頂ける頃には、心身ともに少し余裕が出てきたから...できれば一番辛い時・誰かに助けて欲しい時にこそ、メディカルアロマを利用してもらいたい!介護や育児の一番大変な時に、少しでもメディカルアロマに触れてもらうことで、もっと優しく、もっと楽しく介護や育児が出来るのではないか。介護や育児をする方も、してもらう方も、もっと豊かな生活を送ることができるんじゃないか。そんな想いで訪問アロマセラピーを始めました。忙しい毎日も、ほんの一息つくことで、また頑張れる!!そんなお手伝いが出来ればと思っています。
がんの医療技術の進歩に伴い、高度の専門性を必要とする医療に加え、緩和医療等がん患者の生活の質を高める医療の提供も求められるようになっています。そんな中、緩和ケアの現場では、患者様のQOL(生活の質)の改善を目的に、メディカルアロマの導入が広まっています。
導入結果として、患者様の多くが抱きがちな不安や、孤独感、気の落ち込み、不眠など、心理的な症状の改善、また抗がん薬治療中のだるさ・倦怠感、ほてり・のぼせ、便秘、悪心・嘔吐、食欲不振といった身体症状の軽減に有効であるということが報告されています。
さらに、患者様本人だけではなく、それを支える家族の心身ケアとしても注目が高まっています。 アロマセラピーを活用することで、家族のリフレッシュと介護意欲につながるケースや、また、本人と家族に簡単なアロマトリートメントの指導を行うことで前向きな意欲につながったという報告も上がっています。
アロマの『手当て』で少しでも苦痛を癒せたら
もっと患者さんに寄り添うために、自分にできることを増やしたい
患者さんの最期の日々を支える緩和ケア病棟で働きながら、痛みを抱える人の心と体に本当に寄り添えているのだろうか...と思いを巡らせていた時に、アロマセラピーがその一助になるのではと考え認定校の門を叩きました。心の状態と体調にあわせた精油のブレンド法や体に触れることで心を通わせるトリートメントの効能について学ぶうちに、看護の'看'という字は'手と目'でできているという言葉を思い、看護の原点に立ち返るような気持ちでアロマの手当ての可能性を感じました。学び始めてからは常に精油を持ち歩いていたのですが、看護の中で、薬を飲んでも不眠が続く患者さんを少しでも癒せたらと思い立ち、足のトリートメントを行っていると、いつしかその方がスヤスヤと寝息を立て始め、アロマの力を実感したことがあります。日々悩み、考え続けているのは、どうしたら患者さんに寄り添えるのか、ということ。その術の一つとして自ら学んだアロマを活かせたらと思っています。
超高齢化社会を迎え高齢者を支える施設は、介護保険が適用される施設から適応外の有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅まで、利用者のニーズに応じて数も形態も急速に増加しています。
いずれの施設も、尊厳を保ちながら心地よく日常生活を過ごせるよう、いかに高齢者の心身に寄り添ったサービスを提供できるかどうかが、施設選びのポイントとなってきています。
しかし介護やリハビリの専門スタッフによるケアは、介護保険適応範囲が限られ高齢者の要望を充分に満たすことはむずかしいのが現状。
そこで期待されているのが、統合医療の観点を身につけたメディカルアロマセラピストの活躍です。
メディカルアロマは、精油がもたらすメンタルケア効果、肌に直接触れるタッチセラピー効果により、高齢者に「側に寄り添われる」喜びと安心感をもたらすことができる療法です。
リラックスだけでなく骨や筋力といった運動機能の改善にもつながるアロマトリートメント、精油を使った石けんやバスソルト作りなどを楽しむレクリエーションの提供など、メディカルアロマセラピストが介護現場に参加することで、不足しがちなコミュニケーションを満たせることが注目され、導入が進んでいます。
痛みがとれた、呼吸が楽になったという患者さんの声に、
メディカルアロマの効能を実感する毎日です
看護師資格とメディカルアロマの知識を活かしたくて、代替医療を積極的に進める訪問看護の現場へ就職しました。患者さんはご高齢の方が多く、メンタルケアの一環としてメディカルアロマを取り入れると、鬱傾向にあった患者さんから「良く眠れるようになった」という声を頂いたり、疼痛緩和のためのトリートメントではその効果に驚かれたことも。また、呼吸が浅い患者さんに、胸の筋肉をほぐすトリートメントを行なうと、酸素濃度が上がるのが目に見えて数値でわかる等、現場に出て改めて精油やトリートメントの効果に驚いています。ご病気の方やご高齢の方はなかなか外に出られません。今、本当にメディカルアロマの力を必要としている方々は、自宅にいるのではないかという思いを強くしています。今後は、同じく訪問看護に携わる社内のスタッフにもメディカルアロマの知識を伝え、もっとたくさんの患者さん達にその効能を届けたいと考えています。
統合医療の重要性を理解する医師が増えつつある今、代替医療としてのメディカルアロマ導入を試みる医療機関は少なくありません。
西洋医学では、未病の状態...熱などの症状がない患者に対しては、治療や薬の処方ができません。
こうした患者さんには、医師の指示のもとメディカルアロマセラピストが対応。
来院者の状態に合わせて、自然治癒力を高める精油を提案し、芳香療法や部分浴など適切な活用方法を指導しているのです。
また、医薬品でのトラブルから自然療法を望む患者にも対応可能です。
風邪や花粉症には、抗感染作用があり呼吸器系の疾患の効果的なティートリーやユーカリ、アトピー性皮膚炎などアレルギー性の皮膚炎とかゆみの緩和には、抗アレルギー作用に優れるカモミール、肝機能や血糖値の安定にはキャロットシードなど用いられる精油はさまざま。
自費診療とはなりますが、アロマトリートメントメニューを導入する医療機関もあります。
少しでも多くの患者さんを元気に。 統合医療の一環として、
メディカルアロマの可能性を感じています
病院では、診察をして必要であれば検査をし、お薬を処方しますが、検査で異常がなくても「何となくつらい」「疲れがとれない」という方や、更年期の女性であれば、不定愁訴に悩む方も多くいらっしゃいます。臨床医として日々患者さんと接する中で、西洋医学主流の医療だけではケア出来ない症状があると感じ、一人ひとりをより良い状態に導いていく為には、心身全体を診る代替医療も組み合わせた、統合医療的な観点をもった関わり方が必要なのではないかと感じてきました。日々、患者さんが抱えるつらさをもっと和らげて差し上げられないかと模索する中、出会ったのがメディカルアロマ。自身も施術を受け、予想以上に前向きな気分になれたことに驚き、メンタル面に働きかける力や精油の薬理作用に可能性を感じて、導入を決めました。アロマテラピーなら、薬とはまた違うアプローチで、患者さんの心に寄り添い、皆さんがもっと楽に、もっと前向きに、より元気に過ごせるお手伝いができるのではないかと考えています。
心療内科はメディカルアロマセラピーと親和性が非常に高い領域のひとつです。
実際、先進的な治療機関では専用のアロマトリートメントルームを設置し、医師の指示のもと、心療内科の補助的な療法としてメディカルアロマを導入しています。
精油の香りが直接脳に働きかけて心身を緊張状態から解放し、本来のバランスへと導くことが可能なメディカルアロマは、心身症、うつ病、パニック障害、慢性疼痛、摂食障害のほか、更年期障害の改善に効果が期待され、治療効果の向上に貢献するものです。
また患者にとって、院内でアロマトリートメントを受けられることは、医師が近くにいるという安心感があり、より治療効果を高めることが期待されます。
医師の診察・治療に加え、メディカルアロマセラピストが患者の側に寄り添う時間を提供することは、患者にとって大きな支えとなるでしょう。
アロマも医療も学んで今の仕事に。
患者様の「ありがとう」の言葉が大きなやりがいです。
以前は旅行会社に勤めていましたが、とても忙しく、繁忙期は終電での帰宅が連続する毎日でした。そんな中で、"ストレスや仕事から離れて、ホッとできる何か"を探しているうちに巡りあったのがアロマでした。その後、以前から興味のあった医学知識がアロマと同時に学べるという理由でメディカルアロマを学びはじめ、メディカルアロマセラピストの資格を取得。現在は神戸の心療内科に勤務しています。
心療内科では患者様の心と体の関係、そして生活環境などを含め統合的にみていくのですが、メディカルアロマセラピストも同じ統合医療の視点から疾患を捉えアプローチしていきます。
自分自身が体感したアロマの力を統合医学の知識と共に患者さまのさまざまな不調に役立てられる。そして患者様が「ありがとう」と声をかけてくださることにこの仕事へのやりがいを感じます。
今後もドクターと相談しつつ、さらにアロマを活用していきたいです。
利用者にとって、ストレスを軽減してくれるサービスがあるのは嬉しいもの。
そこで歯科特有の緊張感を和らげることを目的にメディカルアロマを導入する歯科・審美歯科医院が増えています。
一般的なのは、アロマディフューザー(加湿器)などを使用し、待合室にリラックス効果のある精油を焚いたり、治療後に精油を使ったマウススプレーをプレゼントし、予防歯科(口臭ケアなど)への意識を高めさせたりといった取り入れ方。
医院によってはメディカルアロマセラピストを常駐させ、治療後に簡単なアロマトリートメントを行なうなどの付加サービスを提供しているところもあるようです。
一方、審美歯科では、アロマフェイシャルトリートメントを積極的にメニューに取り入れている医院が多数あります。
口腔治療・ケアを機に、肌荒れやたるみが気になった患者さんへの、アンチエイジング目的のスペシャルケアとして位置づけられているのです。
いずれのクリニックも、導入の目的は歯科特有の治療や緊張感が苦手な患者さんへのサービス。
収入に余裕のあるビジネスパーソンが多い、オフィス街で開業するクリニックでの導入も広まっています。
アロマの力で少しでも治療の痛みや
不安を和らげることができたら...
「歯科独特の薬剤臭対策にアロマを検討していた際、メディカルアロマセラピストと出会って本格的に導入を決めました。来院する子供達からも良い匂い!と好評で歯科 = 怖いというイメージを変えられたら嬉しいなと思っています。また、メディカルアロマを通して、私はもちろん衛生士も患者さんとの会話が以前より広がるようになり、コミュニケーションツールとしても役立っています。"健康は健口から、そして健幸へ"をモットーに緊張緩和や鎮痛効果があるアロマの力を活かし、より良い治療環境を整えていけたらと考えています」
鍼灸や柔道整復の技術は日本における代表的な代替医療であり、国家資格取得者による施術を提供する鍼灸院や整骨院は、統合医療を実践する現場として長年機能してきました。
鍼灸・整骨院の主な診療範囲は、骨折・脱臼の緊急時の対応、肩や腰の痛みのケアなどが中心です。一方で、ストレス軽減や疲労回復を望む女性客のニーズに対応しきれていないことが多いのも現状です。
現在のリラクゼーションサロン人気には、こうした背景もあるのです。
その反省から近年、アロマトリートメントを導入する鍼灸・整骨院が増加。また、スポーツアロマとしてのメディカルアロマの導入も注目を集めています。
スポーツアロマは、精油の薬理効果を利用して効果的な疲労回復、筋肉痛などの痛みの緩和が期待できる技術です。
鍼灸・整骨院はこれまで、スポーツや運動を楽しむ地域の人々のスポーツ障害に対して主にリハビリケアを担ってきました。しかしスポーツアロマ導入によりケガを防ぐコンディション維持を担うケアも提供することが可能となります。メディカルアロマ導入により、鍼灸・整骨院の未来も新たな展開が広がっているのです。
症状を原因から改善する根本治療を目指して
勤務先の鍼灸整骨院は、表面的に筋肉をほぐすだけ、音を鳴らすだけの矯正など、一時的な症状の緩和を目的とした治療(対処療法)は行いません。症状を原因から改善する根本治療にこだわり、そのため症状の原因の見極めのため、解剖学・運動力学・物理学・生理学などに基づき、歩き方・立ち方、関節の動く範囲、筋肉の張り方など、体が悪くなっていく連鎖を一つ一つ確認して、原因を究明していきます。そのため、メディカルアロマセラピストとして身につけた基礎医学は多いに役立っています。また、院内にアロマを焚いて患者様にリラックス頂いたり、症状に合わせてアロマをオススメしたり、鍼灸師や柔整師の施術を補う形で治療に関われることがとてもやりがいになっています。
通学コース
オンライン講座
協会について
日本統合医学協会は、東京と大阪に拠点を持ち、日本における健全な統合医学の普及と発展を目的として、平成12年に設立されました。メディカルアロマ、メディカルハーブ、またメディカルヨガやメディカルピラティスといった幅広い分野で技能研修や資格・検定の認定制度確立。統合医学の正しい知識の普及と技能向上に努めています。長年の実績と信頼ある当協会の資格は、医療・福祉の現場をはじめ、自宅サロン開業など転職・就職・開業にも役立てることが可能。統合医学の現場で働く皆様の活躍を後押しします。また、プロの育成だけでなく、セルフメディケーションとしてのメディカルアロマやメディカルヨガの普及にも注力し、誰もが「センテナリアン」を実現できる社会を目指し活動しています。